パンドラの本棚

雑食な本好きによるライトな読書録。

皮肉にも、最期に世界は輝きだす

3日間の幸福 三秋縋

【推しポイント】
私は切ないラストシーンに弱いのですが、見事に涙腺持ってかれました。
本人達は間違いなく幸せなのですが…。
所謂メリーバッドエンドに属します。
読後爽やかでいて仄暗い余韻がたまりません。

【内容】
寿命・時間・健康を売る事が出来る世界。
自分の人生に落胆した主人公が寿命を売り、今迄の人生を振り返り模索していきます。
この青年、幼少期「自分は特別」だと思い、成長して大した事ない事に気付く。
それを認められずかなり自暴自棄だったわけですが、監視員(寿命残り3ヶ月の人間につく)のミヤギ過ごす内に考え方を改める訳です。
悔いのないようにと行動を起こすのですが現実は非情で、結構精神的に悲惨な目にあいます。
それでも、最期くらいはと自分を認めてくれたミヤギの為に尽力します。
成長した彼ですが、今更何もかも手遅れ。
寿命を売らなければ彼は一生変われなかった訳ですから、なんとも皮肉です。

しかし、一生かかっても分からない人が多い中、大切な事に気付けた彼は偉大だと思うのです。